プレイン

プレインとは?

機能的で、長く持ち、使い込むほどよくなる鞄を作りたい。『プレイン』は、東京・馬喰町で昭和20年より鞄の製造卸を商う『松野屋』が、様々な業務用鞄をヒントに「道具としての鞄」を追求し、独自に開発している帆布鞄シリーズです。

◎プレインができるまで

●業務用鞄から生まれた鞄

大工の道具袋や築地市場の集金袋など、松野屋はこれまで数えきれないほどの業務用鞄を扱ってきました。その経験の中で蓄積されたのは「鞄はこうすればもっと使う人の役に立つ」というイメージや工夫のアイデア。鞄で溢れかえる事務所の机で、まずはそれらを思いつくまま描いてみることから『プレイン』は始まります。

●トートの手本は集金袋

ワークトートのヒントになったのは、高速道路の料金所で使われる集金袋です。大量の硬貨の重みが集中する持ち手は傷みが激しく、修理の依頼が多くありました。そこで、同じように相当の負担が想定されるワークトートの持ち手も、グリップを牛革で念入りに補強。万が一、傷みが生じた場合も、牛革部分だけ取り替えられるので鞄を長く使うことができます。

写真上:長年使い込まれた試作トートのグリッ
プ部分。まだまだしっかりしている。下は新品。

●試作、使う、改良。その繰り返し

デザインを決めて裁断し、試作品を縫い上げたら、早速自分たちで使ってみます。開閉のしやすさ、ポケットの位置、ベルトの付け方…。作り手自身がひとりの「持ち主」として感じた問題をとことん改良していきます。何度直しても納得がいかず、商品化できなかった鞄もあります。『プレイン』に妥協の文字はありません。

事務所の窓際に常設している業務用ミシン。アイデアが浮かんだら、すぐに作って使ってみる。自分たちで手を動かすことで、試作にも余計な時間がかからない。その分試行錯誤ができ、それが製品の精度となって現れる。

●知恵をだして、無駄をなくす

余分な装飾を削ぎ落とし、使いやすさを追求した結果生まれた『プレイン』のシンプルなかたち。その制作過程でも無駄をできる限り省きます。使う反物の巾は890mm。使い勝手のよい鞄の大きさを第一に考えながら、どう裁断すれば無駄を出さずに生地を活かせるか、取り都合を吟味し、今のかたちにたどり着きました。材料を大切にすることはもの作りの基本。『プレイン』は、シンプルでいいものを真っ当に作っています

◎プレインの素材

●最高級コーマ6号帆布・純綿100%

『プレイン』で使用する6号帆布は、綿糸の中でも特に繊維の長い最高品質コーマ糸を撚って、高密度に織り上げた最高級帆布。厚手でとにかく丈夫です。夏場など暑さの厳しい環境では繊維が乾燥して細くなり、すき間ができて通気性がよくなります。反対に水に濡れた場合は、繊維が水分で膨らんで生地の目が詰まり、天然の防水効果が生まれます。『プレイン』はこの上にパラフィン加工を重ね、さらに防水性を高めています。

 

●日本の職人の確かな手仕事

分厚く、硬い帆布と牛革。その2つを縫い合わせるには、専用の機械と熟練の技術が必要です。そのため『プレイン』は日本の職人の確かな手仕事によってひとつひとつ丁寧に縫製されています。細部にわたる美しい縫い目は強度の証。思う存分、使えば使うほどしなやかな感触と味のある表情が生まれてきます。修理ができるので、手入れをしながら長く使い、自分の手によく馴染む唯一無二の鞄になっていく様をお楽しみ下さい。

ミニコラム:『鞄には、入りきらなかった鞄のはなし』